創立100年を超える老舗メーカーから、シンガポールで最先端の細胞性食品(培養肉)新規事業を立ち上げに挑戦!|遠山 梢さん

創立100年を超える企業の新規事業で、「限りなくエッジの立った」新規事業を、海外、シンガポールで立ち上げている遠山さん。

なぜ、ガラスびん・容器業界から、最先端の細胞性食品(培養肉)事業を立ち上げるのか?何が大変で何が楽しいのか?そして、毎日はどのように過ごしているのか?身近な話から壮大なビジョンまで、語っていただきました。

そして「なんとなく」の不安から海外の支援先に着目し、事業共創を推進しながら「持続可能な食のバリューチェーン構築を目指して取り組んでいる」という遠山さんの、海外でのチャレンジストーリーをご覧ください!

<プロフィール>

  • 氏名:遠山 梢さん
  • 会社:東洋製罐グループシンガポール
  • 役職名:Chief Business Development(現地代表)
  • 簡単な経歴:

2006年、ガラスびんメーカー東洋ガラス(東洋製罐グループ)に入社。韓国、エジプトなど海外メーカー向け技術支援サービスのコーディネートを担当。
2019年、東洋製罐グループがシンガポールに設立したイノベーション拠点 Future Design Labの立ち上げメンバーとして赴任。翌2020年、細胞性甲殻類食品(いわゆる培養肉)を開発するシンガポール Shiok Meats社に出資し、事業共創を推進している。
社外では、企業の事業活動によりサステナビリティの社会実装をめざすスタディーグループ「SUSPER(サスパ)」や、経産省のイノベーター育成プログラム「始動」に参加、ソーシャル・イノベーション創出を目指して活動中。

目次

遠山 梢 さんにインタビューしました!

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現在のお仕事の内容を簡単に教えてください

フードテック・クライメイトテック・デジタルヘルス領域を中心に、シンガポールで事業機会探索を行っています。5年後、10年後の未来に向けた変化の兆しや日本から見えにくい世界のトレンドを収集し、自社の事業機会としてフィードバックすることが主な仕事です。

2020年から現地スタートアップ企業 Shiok Meats社との共創を開始した「細胞性食品(培養肉)」は、動物を飼育するのではなく、細胞を育てることで、肉や魚を持続可能な方法で生産できる次世代タンパク質として注目されており、市場導入に向けて、いま世界各地で多くのステークホルダーが開発を進めています。私は、東洋製罐グループの容器・重点事業で培ったノウハウを活用して、このような新規食品を美味しく安全に皆さんの食卓に届けられるよう、持続可能な食のバリューチェーン構築を目指して取り組んでいます。

Intraprene

新規事業開発に携わる事になったきっかけを教えてください

私が入社したガラスびん・容器業界は、市場が右肩下がりで縮小し海洋プラスチックなど多くの課題を抱えており、なんとなく不安を感じていました。そのような時に、海外の技術支援先において、同行した自社の技術者チームが課題解決に全力で取り組み、その技術が工程改善や生産性向上に大きく貢献して、現地の方々に喜ばれる姿を見て「自社/日本の技術や事業は、もっともっと社会に貢献できる!」と感じ、新規事業を考え始めました

Shiok Meatsチームと米国展示会SXSWに出展
Shiok Meatsチームと米国展示会SXSWに出展
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事業開発の担当になってよかった!と思えるHappyなエピソードはありますか?

新しいこと、面白い方、すごい方と出逢えることでしょうか。刺激的で成長の機会が多い毎日を送れることが何よりHAPPYです。

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逆に、事業開発の担当になって、大変だったこと、苦労したことは何ですか?

海外でのコロナ・パンデミック、その状況下での現地拠点責任者着任など思いもよらないことが次々起きて、対応できない自分のスキル不足にいつも泣きそうになります(今も)。前例のない、わからないことに取り組むことは楽しくもありますが、やはり大変です。

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その状態をどう乗り越えましたか?

格好よく1人で解決したかったのですが、早々に無理だと気が付きました。それからは、自分が考えていること、やりたいことは何か、それを私1人だったらここまでできる/ここまでしかできない、こんな協力や支援があればもっとできそうなので「助けてほしい」と周囲に助けを求めるようにしたところ、社内外の色々な方が助けてくださって、どうにか前に進むことができています。格好悪くても助けて!ということ、大事です。

Intraprene

今、プロジェクトの中で、取り組まれていること、実現したいことはどんなことですか?

「だれもが美味しい毎日」を実現したいと考えています。美味しいもの、健康に良いもの、環境にやさしいもの、だれもが制限を受けることなく、自分が食べたいものを選択して楽しむことができる、そんな日常生活を目指して、貢献していきたいです。


細胞性カニのプロトタイプを用いたチリクラブ
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今後の目標やプランを教えてください!

色々やりたいことはあるのですが、いつも出たとこ勝負になっているので、次の10年のプランをたてる!ことが当面の目標です。

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遠山さんからのメッセージをお願いします!

私が取り組んでいる「細胞性食品(培養肉)」のような新しい食品を社会実装するためには、安心安全を担保する規制・ルールや商用の生産販売インフラの構築、試食の機会提供、食育など多くの課題を解決する必要があり、利益を見込めるようになるまでに、まだ多くの時間がかかります。

ですが、「肉って、なに?」というテーマで、世界中のスタートアップや企業、アカデミア、学生、政府、シェフ、宗教家などが集まり議論している、そんな面白いことありますか? 食は文化や習慣、生活に根差したテーマであり、誰しもが関わることができる領域です。面白そうだなと思った方はぜひ、フードテック・食の世界に飛び込んできていただけたら嬉しいです。

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最後に、未来のイントラプレーヌに向けてメッセージをお願いします!

自分にできることはあるのだろうかと不安な思いで挑戦し始めた新規事業も、海外駐在も、実際には、想像していたよりキラキラしておらず、地道な仕事の積み重ねでした。だからこそ、スーパースターや天才のように選ばれた人だけではなく、企業で働く私たちにもできることがあるのかなと思っています。
大変なことも失敗も「大丈夫、なんとかなる」。楽しんじゃいましょう。

東洋製罐グループホールディングス株式会社 https://www.tskg-hd.com/ 

東洋製罐グループ「OPEN UP! PROJECT」https://jp.open-up.tskg-hd.com/

遠山さんにいまの一日を聞きました!

7:00 シンガポールの日の出は通年で7時頃なので、朝日とともに起きます。

8:30 出勤 日本との時差が1時間あるので、すでに日本から入ってきているメールを確認し対応します。

9:00 毎朝チームでミーティング。オフィスか在宅か、仕事内容にあわせて各自選択しているので、1日1回みんなで顔をあわせる時間をつくっています。

コワーキングスペースにオフィスがあり、入居している他社の方々や来訪者とコーヒーを飲みながら情報交換、雑談をすることも多く、異業種や他業界のことを知る良い機会になっています。たくさんの情報をオンラインで効率的に収集することができますが、こうしたコミュニケーションからの気づきが後々重要なきっかけになることもあるので、できるだけ多くの時間を直接のコミュニケーションに使いたいなと思っています。

19:00 友人・知り合いと夕食へ。多様な文化が集まるシンガポールでは、バラエティーに富んだ食を楽しむことができます。最高気温30度の気候には冷たいビールがぴったり!今日も仕事した―と思える瞬間です。

25:00 資料作成に追われたり、他の地域の方とのオンラインミーティングが入ることもありますが、時間をみつけて、マリーナベイまで歩いたり、ジョギングしたり、軽く運動して就寝します。

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