八十雅世さんは、新規事業だったプログラミング教育事業を仮説検証後、撤退された経験をお持ちです。現在はその経験を活かし、「社内で新規事業を創る人を支える人」として社内に 新規事業を創るための制度やルールを整える役割をされています。「新規事業を創る人」から「新規事業を創る人を支える人」へ役割を変えていったストーリーを語っていただきました。(インタビュー by椿)
<プロフィール>
- 氏名:八十雅世さん
- 生年月日:34歳、 1986年生まれ
- 会社:独立系SIer
- 役職名:主任
- 簡単な経歴:大学で美術史学を学んだ後、IT業界に飛び込み、現在所属するシステムインテグレーターに就職。技術調査部門や新規事業チーム、マーケティング・プロモーション企画 職などを経て、現職。1児(2018年生まれ、3歳)の母。
07:00 起床、朝の支度
07:30 子ども起床、朝食や保育園の準備など
08:20 出勤
09:00 業務開始
17:30 業務終了
18:00 保育園お迎え
18:20 帰宅、夕食の準備
19:00 夕食
20:30 入浴
21:30 子どもの寝かしつけ
22:00 子ども就寝後、自分の時間
01:30 就寝
八十雅世さんにインタビューしました!
現在のお仕事の内容を簡単に教えてください
企業向けにシステムの開発や運用保守を行う、システムインテグレーター(Sler)の経営企画に所属しています。
経営分析やマーケティング活動支援をしながら、会社内に新規事業を興すためのプラットフォームを整えることを担当しています。
新規事業開発に携わる事になったきっかけを教えてください
今から8年ほど前に、新規事業としてこども向けのプログラミング教育事業を企画したことが、きっかけでした。当時、社内で新規事業チームがつくられたのですが、チームメンバーは実質リーダーと私の2名。プログラミング教育事業のアイデア自体は、当時のリーダーが出したものです。
リーダーは2人の子どもを持つパパで、長子が当時小学2年生くらいであり、その将来について考えるものがあったようです。私の担当領域は、主にマーケティング、プロモーションでした。
このプログラミング教育事業の結果をお話すると、仮説検証の段階で継 続が困難であると判断され事業化されず、チームは解散となりました。
撤退の経験が、ご自身そして社内に与えた影響はありますか?
まず、自身への影響でいえば、「もっとこうすればよかった」「他の新規事業ではここに気 を付けた方がいい」と、社内で新規事業を創るための改善点を体感できたことです。これは 私に「新規事業に対する会社環境を整えなければならない」と強く動機づけました。
次に、社内に与えた影響としては、新規事業を始めるときのフォーマットになったことで す。当時、新規事業を提案する際の検討事項や提案資料のひな型はありませんでした。その中で私たちは試行錯誤して各種資料をつくっていました。その苦労が功を奏し、今では当時の資料が後続の新規事業立案者の参考資料になったようです。
新規事業の経験が、次のキャリアに活かされたことを教えてください。
大きく分けて2つの要素が次のキャリアに活かされました。
1つ目は、Webマーケティングの実務経験です。プログラミング教育事業では、集客活動の ために独学でWebサイトを自分でつくり、SEO対策を施し、GoogleやSNSで広告を打ちました。自分で計画して実践することによって、かなりWebマーケティングに詳しくなった と思います。それもあり、チーム解散後はマーケティング・プロモーションの企画担当と して、Webマーケティングも手掛けるようになりました。当時BtoB事業にとってWebマーケティングはなじみの薄いもので、社内で知見がある人は皆無に等しい状態でした。いまや当社でもWebマーケティングは欠かせないものになっているため、その礎になったのではと勝手 に思っています。
2つ目は、事業の全体像を把握できたことです。収支計画はもちろんのこと、契約書やアルバイトの雇用方法など、法務部や人事部と相談しながら進めました。様々な部署に聞いて回ってアドバイスしてもらったおかげで、通常の業務では知りえない領域まで知見が広がりました。この経験により他の新規事業提案のサポートができましたし、現在の経営企画と いう立場にも役に立っていると思います。
事業開発の担当になってよかった!と思えるHappyなエピソードはありますか?
正直なところ、プログラミング教育事業をしていた当時は、仮説検証後に撤退したということもあり、空しさや悔しさ、少しの安堵を感じており、Happyだったとは言い難いです。
ただ、今現在その失敗が活きています。実は2021年4月より、企業派遣としてビジネススクールに通っているのですが、そこで経営について学ぶ中で、新規事業に携わった経験がとても有用です。
失敗した分、問題意識があるので、教えられることに対し気づきが多いのです。事業開発に関わっていなければ、ここまで気づきを得られなかったかもしれません。そこが私にとってHappyだったことです。
逆に、事業開発の担当になって、大変だったこと、苦労したことは何ですか?
社内では自分たちが事業開発の先駆者だったため、相談できる相手がほぼいないことが、苦労した点でした。社外にもチャネルがある訳でもなく、どうやって進めればいいのかを模索する日々でした。
先駆者だからそこ相談相手がいなかった模索状態を、どう乗り越えましたか?
新規事業という点では相談相手がいないとはいえ、タスクレベルに分解すると、相談できる人は少なからずいました。様々な方にサポートしてもらったと感じています。
今、取り組んでいることを教えてください!
現在は「新規事業を創る人」ではなく、「新規事業を創る人を支える人」となり、社内に 新規事業を創るための制度やルールを整えています。プログラミング教育事業での事業化失敗や、他の人が立案する事業企画を傍で見る経験を通じて「こんな時にこんなサポートがあればいいのに」という思いが募っていました。
新規事業担当者はどうしても、組織上、精神上、孤独を感じやすいです。
その孤独を中和し、前を向いて新規事業に取り組める環境を整えることが、失敗を経験している私だからこそできることだと思っています。
現在通っているビジネススクールでも、この点を軸に論文を執筆しています。
今後の目標やプランを教えてください!
当面の目標は「社内で新規事業を創る人を支える人」となることです。
ビジネススクール で学ぶ中で、新規事業を創ることに関与するのは、経営全体を変えていくことに繋がると強く感じました。難しく、かつやりがいあるこの目標に、腰を据えて取り組みたいと思っていま す。
PRしたいことなどあれば、お願いします!
社内で新規事業を興している方がいらっしゃいましたら、ぜひ繋がっていきたいです。
Twitter@80_yorozuからご連絡ください。 また、noteで記事を書いていますので、ご興味あればそちらもご覧ください。 https://note.com/80yorozu
最後に、未来のイントラプレーヌに向けてメッセージをお願いします!
新規事業は、成功、撤退に関わらず、ご自身のキャリアにとって大きなプラスの影響をもたらします。臆せず挑戦してください!